マットレスの通販サイトは、どこも「10年保証」と書いてあります。
この言葉、誤解されやすいと思っています。
「10年もちます」という意味ではありません。 正確には「10年以内に、規定の深さまで沈んだら交換します」という約束です。
だから見るべきは年数ではありません。
何cm沈んだら対象になるのか。そのとき無償なのか。 ここです。
そして調べていくと、そもそも数値を公開していないブランドがある ことが分かりました。
この記事では、主要6ブランドの保証を3つの軸で並べます。
各社の保証は、公式の原文で確かめています。自分で使ってきたモットン(9年)とフランスベッドの側から、比べて書きます。
結論:3軸で並べると、各社の姿勢の差が出る
見るべき軸は3つです。
- 何年か
- 何cm沈んだら対象か
- 無償か、有償か
この3つで並べると、こうなります。色が付いているところだけが、実際に差がある項目です。
| ブランド | 保証期間 | へたりの数値基準 | 無償/有償 |
|---|---|---|---|
| NELL | 10年 | 3cm以上 | 無償 |
| エマ・スリープ | 10年 | 2.5cm以上 | 無償 |
| コアラマットレス | 10年 | 「25mm未満は対象外」 | 記載を確認できず |
| モットン | 3年 | 2.5cm以上 | 有償 |
| エアウィーヴ | 3年 | 非公開 | 無償 |
| フランスベッド | 2年 | 非公開 | 期間内は無償 |

読み取れることは3つあります。
- 10年保証を掲げているのは、NELL・エマ・コアラの通販3社
- へたりの数値を公開しているのは、NELL・エマ・モットンの3社
- 私が100万円払ったフランスベッドの保証が、この中でいちばん短い
3つ目は自分で書いていて複雑ですが、事実なので書きます。
軸①:「10年」と書いてあっても、同じ10年ではない
まず年数から。
10年 がNELL・エマ・コアラ。3年 がエアウィーヴ。2年(一部1年) がフランスベッドです。
モットンだけ性質が違います。
モットンには期間保証という枠組みがありません。かわりに、へたりの交換対応が購入から3年以内に設定されています。
(出典:モットン公式)
通販ブランドの間ですら、3年から10年の開きがあります。
起算日は「注文日」ではない
もうひとつ、見落としやすい点があります。
保証の起算日は、注文日ではありません。 エマは「配達日から」、コアラは「お客様が商品を受領された日から」と明記しています。 圧縮梱包のマットレスは、注文から到着まで時間がかかることがあります。
軸②:数値を公開しているブランドと、していないブランド
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。
公開している:NELL(3cm)・エマ(2.5cm)・モットン(2.5cm)
NELLは「3cm以上のへたりが生じた際には、保証期間中であれば無料で交換」としています。
ただし保証条件のページには、もう一段の条件が書かれています。「他部分のコイルと比較して3cm以上のコイルの沈み込みが確認できるもの」です。
買ったときより3cm低くなればよい、という条件ではありません。
(出典:NELL 安心サポート)
上位モデルの Model H は基準が違います。ボトムマットレスで4cm以上、または他部分のコイルと比較して4cm以上の沈み込みが対象です。
Model H のトッパーは10年保証の対象外です。 「基本の耐用保証はなく、1回のみ無償での交換対応」という別扱いです。 ただし配送の送料は実費負担で、古いトッパーの回収・廃棄も自分で対応することになります。
(出典:NELL公式 商品ページ、Model H 保証条件FAQ)
エマ・スリープは「適切な使用でウレタンフォームに2.5cm以上の凹みが生じた場合」が対象です。
(出典:エマ公式 Emma Promise)
基本モデルの3cmも、上位モデルの4cmも、どちらも公式サイトで確認できました。
モットンも数値を出しています。「2.5cm以上のヘタリ」が交換対応の条件です。ただし後述のとおり、モットンだけは有償です。
(出典:モットン公式)
対象になる数値をはっきり出しているのは、6社のうちNELL・エマ・モットンの3社です。
コアラは「25mm未満は対象外」という書き方をしている
読み方に注意が要ります。
コアラの公式FAQには、こう書かれています。
25mm未満の凹みを引き起こす可能性のある…小さな変化や沈み込みは対象外
(出典:コアラ公式FAQ)
比較サイトではよく「コアラは2.5cm以上が保証対象」と紹介されています。
でも公式が書いているのは「25mm未満は対象外」です。
この2つは論理的に別のことです。 「25mm未満は駄目」と言っているだけで、「25mm以上なら必ず通る」とは約束していません。 2回確認しましたが、そう書いた公式の記述は見つかりませんでした。 この記事では断定しません。
コアラの保証には、他社にない条件もあります。
- 転売品・譲渡品は対象外(保証は最初に購入した人にのみ提供される)
- 経年劣化・日常使用による変化や摩耗は対象外
- ウレタンフォームの黄ばみ変色も対象外
コアラの口コミと保証の条件は、コアラマットレスで後悔した人の理由の記事で詳しく書いています。
エアウィーヴとフランスベッドは、数値を出していない
ここが、調べていていちばん面白かったところです。
この2社は、書き方が正反対なのに、読み手から見える景色は同じです。
エアウィーヴの保証は3年。対象は「通常の使用で当社の規定以上に変形した場合」です。
ただし「規定以上」が何cmなのかは、商品ページにもFAQにも書かれていません。
対象は中材のみで、カバーには保証期間がありません。
何年もつのか、へたったらどうするかは、エアウィーヴの寿命をまとめた記事に整理しています。
(出典:エアウィーヴ公式FAQ)
フランスベッドは、保証対象外を列挙したページにこう書いています。
以下のような場合、保証期間内でも保証対象外(有償)となります。 (1) 弊社規定以内のマットレス・ソファ等のクッション材のへたり
(出典:フランスベッド公式)
よく読んでください。「へたり」ではなく「弊社規定以内のへたり」です。
ネット上には「フランスベッドはへたりを保証対象外にしている」という記述が広く出回っています。
これは文言を丸めすぎです。
公式が言っているのは「規定以内のへたりは対象外」。裏を返せば、規定を超えるへたりなら対象になり得ると読めます。
そして、その「弊社規定」が何cmなのかは公開されていません。
フランスベッドに早いへたりを申し出て「規定内」とされた口コミは、フランスベッドの口コミ82件を分類した記事にまとめています。
同じページには、保証期間内なら「無償修理、又は弊社の判断による製品交換」をすると書かれています。窓口の対応そのものが有償、という意味ではありません。
つまり、こういう構図です
| ブランド | 書き方 | 数値 |
|---|---|---|
| エアウィーヴ | 「規定以上に変形した場合」は無償交換する | 非公開 |
| フランスベッド | 「規定以内のへたり」は保証対象外 | 非公開 |
片方は「対象になる条件」、もう片方は「対象外になる条件」として書いています。 共通しているのは、どちらも肝心の数値を出していないこと。 制度そのものが同じだと言いたいわけではありません。期間も対象範囲も違います。
これは「保証が悪い」という話ではありません。
事前に自分で判断できない、という話です。
- NELL(3cm)・エマ(2.5cm) … 数字が出ているので、自分でおおよその見当をつけられる(NELLは他のコイルとの比較も条件)
- エアウィーヴ・フランスベッド … 申請して検品してもらうまで分からない

長く使うつもりなら、ここは効いてきます。
数値を出していないエアウィーヴは、口コミを分類すると、いちばん多い不満がへたりでした。

軸③:無償なのか、有償なのか
年数と数値をクリアしても、もうひとつ壁があります。
NELL・エマ・エアウィーヴは無償交換です。フランスベッドも、保証期間内なら無償修理または交換と明記しています。
ただしNELLのModel Hトッパーだけは、無償交換でも配送の送料が実費負担になります。
モットンは有償です。
モットンのへたり交換は、購入から3年以内・2.5cm以上のへたりが条件。配送手数料のみ負担(4,500円/個)で、1回限りです。
(出典:モットン公式)
つまり4年目以降にへたっても、制度上の救済はありません。
私はモットンを9年使いましたが、制度を使う場面は一度もありませんでした。 初代は9年目の今も、来客用として現役です。 ただ、制度として薄いことは変わりません。
モットンには硬さ交換サービスという別制度もあります。
配送手数料4,500円/個で1回だけ硬さを変えられます。ただし一度使うと返金保証の対象外になります。
へたり交換とは別枠なので、混同しないでください。
参考:公的な物差しは一応ある
各社の基準は2.5cmから4cmの範囲に収まっています。この数字はどこから来たのでしょうか。
実は、マットレスの耐久性にはJIS規格があります。
JIS S 1102:2017(住宅用普通ベッド) では、こう定められています。
- 繰り返し200回・10,000回・80,000回の加圧試験を行う
- それぞれの時点でのへたり量が、いずれも40mm以下であること
- 80,000回の試験後、表地のずれ・詰物の移動・ばねの折れ等の異常がないこと
(出典:ボーケン品質評価機構)

各社の保証基準と、このJISの合格ライン(40mm)は、数字としては近い範囲にあります。
ただしどちらが厳しいかは比べられません。測る対象も方法も違うからです。
JISとメーカー保証は性質が違うので、混ぜないでください。 JISは「出荷時の製品品質」の基準。メーカー保証は「買った後に何cm沈んだら無償対応するか」の基準です。 各社がJISを参照して決めたと明言しているわけではありません。並べると近い、という観察です。
私が買ったフランスベッドは、保証2年です
最後に、自分が買ったブランドの話を書きます。
フランスベッドのマットレスの製品保証は、お買い上げより2年(一部1年)。この6社でいちばん短い。
(出典:フランスベッド販売 保証について。運営はメーカー本体ではなく「フランスベッド販売株式会社」)
私は2026年8月に、フランスベッドの最上位モデルをセミダブル2台、一式100万円で買っています。 買うまでに考えたことは、フランスベッドのレガシーを買うまでに考えたことにまとめています。
10年保証のブランドを並べて調べた後にこれを見ると、正直ひっかかります。
そのうえで、公平に見るための補足を3つ。
守備範囲が違う
通販ブランドの10年保証は「へたりが◯cm超えたら交換」というアフターサービスです。
フランスベッドの2年保証は製造上の欠陥に対する保証。年数だけ横に並べても比較になりません。
適用条件がある
「保証はフランスベッドフレームとマットレスをセットでお使いの場合のみ適用となります」と明記されています。 フレームを他社製にしていると、そもそも適用されません。
「きしみ音も対象外」は、販売会社の通販サイトに書いてあった
よく見かける記述です。メーカー本体の規約では見つかりませんでしたが、販売会社の通販サイトに明記がありました。
※マットレスのへたり、におい、軋み音での交換返品は保証の対象外となり有償となります。
(出典:フランスベッド販売 公式通販)
これは「フランスベッド販売株式会社」の通販サイトの条件で、メーカー本体の保証規約とは別のものです。 買った店によって条件が変わります。この記事で引用しているフランスベッドの条件は、どこの規約かを見てください。
なお、保証対象外の列挙は探しにくい場所にあります。
保証ページではなく、別ドメインの修理ページに載っています。見落とされて「へたりは対象外」と丸められているのだと思います。
で、どの条件を重く見るべきか
ここまで並べたうえで、私の考えを書きます。
保証の手厚さを最優先で選ぶべきなのは、「長く使うつもりの人」だけです。 理由は単純で、保証が効いてくるのは3年目以降だから。1〜4ヶ月の「お試し期間」とは、まったく違う時間軸の話です。
そして、私の実感を書きます。
マットレスは、寿命より先にライフイベントで買い替わります。
私は9年でマットレスを3回替えました。
へたりが理由だったことは一度もありません。
1回目は子どもが生まれて引っ越したから。2回目は睡眠に投資しようと思ったから。
保証制度の出番は、一度もありませんでした。
だから、こう整理しています。
保証をどう重く見るか
「10年保証があるからお得」ではありません。「10年使う前提が自分にあるか」が先です。
「返せるか」のほうが気になる人は、お試し期間と返品条件を6社で比べた記事があります。

まとめ
- 「10年保証」は「10年もつ保証」ではない。「10年以内に◯cm沈んだら交換する」という約束
- 対象になる数値を公開しているのはNELL(3cm)・エマ(2.5cm)・モットン(2.5cm)の3社
- エアウィーヴとフランスベッドは、書き方は正反対だが、どちらも肝心の数値を非公開にしている
- コアラは「25mm未満は対象外」という書き方。「25mm以上なら交換」とは書かれていない
- モットンだけ有償で、しかも購入から3年以内
- 私が100万円払ったフランスベッドは、この6社でいちばん短い2年
年数より、「何cmか」と「無償か」 を見てください。そこに各社の姿勢が出ています。
NELLの実際の評判は、口コミを分類した記事にまとめています。


コメント